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超短パルスレーザーでウイルスを粉砕
- 2008/03/22(土) 21:49:48
wired news より転載
研究者父子は、この超短パルスレーザー装置を使い、タンパク質でできたウイルスの殻を破壊している。
超短パルスはヒトの細胞には無害だという。
超短パルスレーザーでウイルスを粉砕――AIDSや肝炎の治療も可能に?
2007年11月 2日
物理学者の父親と生物学を研究する息子が、
親子で超短パルス(USP)レーザーを使った実験を行ない、
健康な細胞に害を与えずにウイルスを破壊することに成功した。
今回の発見がきっかけで、現時点では治療法のない
HIVのようなウイルス性疾患に新しい治療法が見つかる可能性がある。
「われわれは、ウイルスを不活性化するために、
レーザーで振動刺激を与えてウイルスの殻を破壊する手法を用い、
その有効性を実証した。
現在はHIVと肝炎ウイルスで同じ手法を試している」
と語るのは、アリゾナ州立大学教授(物理学)のKong-Thon Tsen氏だ。
Tsen氏と、その息子でジョンズ・ホプキンズ大学で
病理学を専攻している学生のShaw-Wei Tsenさんは、公園を散歩しながら、
予防接種に勝る抗ウイルス治療の必要性について話し合っていた時に、
このアイデアを思いついた。
父親のTsen氏は、最近では物理学以外の分野での利用が増えている
USPレーザーの実験を長年行なっている。
ベンチャーキャピタルから資金提供を受けて
USPレーザーを製造する米Raydiance社は7月に、
米食品医薬品局(FDA)とレーザー治療の共同研究契約を結んだ。
ワイアード・ニュースの過去記事(英文記事)で、FDAの専門家は、
USPレーザーには、一般的な目のレーザー治療から
細胞単位での腫瘍の除去まで、
多くの医学的用途が考えられると述べている。
最新の研究で、Tsen父子は、レーザーを用いることで、
タバコモザイクウイルスのタンパク質でできた外殻(カプシド)を破壊できることを実証した。
後には、粘液のようにどろどろした無害な分子の塊が残った。
レーザーは、ヒトのT細胞(リンパ球の一種)に対して有害な出力と比べて、
40分の1という低出力で、カプシドを破壊した。
これに比べて、紫外線など他の放射線は、
農産物の病原菌を殺すなどの効果があるものの、
ヒトの細胞に対してもダメージを与える。
ウイルスを非活性化するこのレーザーは、
「強制共鳴」(「強制振動」)という原理に基づいている。
Tsen父子は、レーザーの周波数をウイルスの振動と同じ周波数に合わせてから、
ボリュームを上げた。
周波数の高い音を流すとガラスが粉々に砕けるのと同じように、
レーザーがウイルスに振動を与え、ついには外殻が壊れる。
USPレーザーは、フェムト秒(1000兆分の1秒)単位のパルス幅でエネルギーを放出する。
「パルス幅が極端に短いことにより、
従来のレーザーや、レーザーを使わない他の方法では不可能な物理的効果が生じる。
非常に多くの業界や用途でUSPの応用研究が盛んになり、
新たな用途が続々と発見されている」と、Raydiance社のScott Davison社長は言う。
たとえばUSPレーザーは、手術で治療部位を焼き切るのに使用されるレーザーメスと違って、
大量の熱を発しない。
Tsen氏によると、この技術が今すぐにでも役立つ応用分野として、
血液銀行に貯蔵された血液中のウイルス除去があるという。
HIVなど一部のウイルスには、検出が非常に難しい「ウインドウ期間」がある。
「この技術は、既知のウイルスであれ、未知のウイルスであれ、
すべてのウイルスの消毒に非常に役立つだろう。
輸血の安全性も大幅に増す」とTsen氏は語る。
Tsen父子が開発したこの技術は、
試験管内での実験でしか成功していないため、
今後は動物実験と人体実験を行なう必要がある。
実際の治療に応用されるのは、まだずっと先の話だ。
だが、公園をもっと散歩すれば、さらにいいアイデアが出て、
すべてがうまく行くようにも思える。
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