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増税と減税の不思議
- 2008/03/14(金) 09:38:08
http://www.cubeny.com/catch5-1-03.htmより転載
ブッシュ大統領が7000億ドルにも及ぶ減税を実施しようと遊説する中、
ニューヨーク州では今週に入って、
突如所得税、売上税の増税案が浮上しており、
世論はブッシュ大統領の大型減税には反対する声が多いけれど、
ニューヨーク州内では増税に反対する声が圧倒的に多く、
国と地方自治体の税制は全く逆の方向に向かおうとしている状態である。
ブッシュ大統領が来年の選挙での再選を目指し、
株式投資による利益に対する無税を含む
大型減税案を景気刺激対策として打ち出しているのは
周知のことであるけれど、
今週に入って突如ニューヨーク州で浮上してきた増税案は、
財政難に苦しむニューヨークが、
予定されていた市の職員のレイオフや
ゴミの収集などのサービスの大幅カットを避けるため、
年収10万ドル以上の独身者、
年収15万ドル以上のカップルを対象とした所得税の大幅アップ、
売上税を現在の8.25%から8.65%に
引き上げることによって税収を確保するというものである。
この減税案、増税案が興味深い点は、共に「仕事を守る、クリエイトする」
ことを目的に行なわれようとしているもので、
ブッシュ大統領は7260億ドル(約87兆円)の減税を行なうことによって
140万人分の仕事をクリエイトすることを公約している。
一方のニューヨークでは、増税を行なうことによって、
予算削減によってレイオフされる予定であった1万人以上の市の職員や、
民間職員の仕事が失われずに済む、
ニューヨーク市内の30以上の消防署が
クローズされずに済むというものであるが、
州のレベルだと増税が仕事の確保に繋がり、
国のレベルだと減税が仕事を生み出す
というのはどうも納得がいかない理論である。
頭を冷して考えるまでもなく、理にかなっているのは
ニューヨーク州の増税案で、財政難の下では、
レイオフやサービス・カットによってコストを削減するか、
増税をして税収を増やすしか方策は無い訳で、
これが既にアメリカで最も高い売上税、所得税を
さらに引き上げることによって実現されることに対しては
不平、不満はあるものの、少なくとも理屈には
かなっているのは認めざるを得ない事実である。
これに対してブッシュ大統領が行なおうとしている
140万の仕事をクリエイトするための減税案は
謎に包まれたものと言わなければならない。
先ず7260億ドルの増税で140万の職業をクリエイトする
という理論を単純計算すると、1つの職業を生み出すために
約50万ドル(6000万円)の減税が必要であることになる。
現在のアメリカ人の平均的な年収が約3万7000ドル
(約440万円)であることを考えれば、
どうしてその給与の約13倍以上金額を減税して、
僅か1つ仕事がクリエイトされる計算になるのかは
全く理解に苦しむところである。
その一方で、この減税のために 教育、健康保険予算や、
NYを初めとする地方自治体への補助が大幅にカットされるため、
各機関でコスト削減のためのレイオフが相次ぎ、
益々多くの仕事が失われることは、多くの専門家が指摘することである。
極端な話が、国が大幅減税など止めてしまって、
7260億ドルの減税分の中から40億ドルを
NY市に補助金として与えてくれれば、
NY市の負債は一気に解消される訳で、
そうなればNYも増税などする必要は無い訳である。
今回のブッシュ大統領の減税案は、
彼を選挙の際に支えてくれる裕福な共和党支持者に
利益をもたらすものであるのは明らかであるけれど、
この減税案が実施されれば既に開きつつあるアメリカ国内の貧富の差が
更に大きく開くのは目に見えていることである。
90年代前半のリセッション期に、アメリカ人の友人が冗談半分で
「90年代のステイタス・シンボルはレイオフされる心配の無い職業だ!」
等と言っていたことがあるけれど、4月の時点で失業率が6%に達し、
過去3ヶ月だけで52万5000もの職が失われているアメリカが、
再びその状態になりつつあるのは
昨今ひしひしと感じられることである。
今週末のTVのニュースでは、
職を求める大勢のニューヨーカーが、
建設業組合の募集に対して4日間も徹夜で
長い行列を作っていた様子が報道されていたけれど、
これを見るまでもなく、現在アメリカ全土で安定した仕事が
何よりも求められているのは紛れもない事実である。
ことに好況期に住宅ローンを組み、ここへ来てレイオフされ、
途方にくれている人々は多いと言われ、
こうした人々は失業手当の給付期間が終わっても
仕事が探せない場合が多く、
自分達の本来の能力以下の仕事を安い給与でせざるを
得ない状況に追い込まれていることも伝えられている。
ブッシュ大統領の金持ち優遇で、
仕事を生み出す具体性に欠く減税策を見ていると、
これによって仕事がクリエイトされるとすれば、
それは恐らく億万長者の3人目の庭師や、
5人目のメイド、2人目の運転手というような
仕事なのだろうと思えてくるのが実際のところである。
エコノミックヒットマンでは世界銀行が貧しい国を搾取して
さらに貧しい国にしています。
アメリカ国内ではブッシュが貧しい階層から職を奪い
貧しい階層はさらに貧しくなっています。
この貧富の格差拡大は全世界的なものです。
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