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安い保険料で多くのリスクを抱え込む
- 2008/03/13(木) 13:43:47
今年5月、我々が運用するファンドで
「サブプライム問題の本命」として空売りする結論に至ったのは
債券保証会社であるMBIA(MBI)とアムバック(ABK)でした。
これらの会社は保険会社の中でも、債券の保証に特化しているという意味で
モノ(=単一の)ラインと呼ばれます。
日本では馴染みのないビジネスですが、簡単に言えば債券の保険会社です。
国債は満期まで保有すれば元利払いは保証されていますが、
それ以外の殆どの債券は多かれ少なかれ、
満期までに債務不履行となる可能性があります。
債務不履行となった場合に、投資家がこれら保険会社から元金と利払いを
保証してもらうという仕組みです。
そもそもこれらモノライン会社は
地方債(州債や市債など)の保証をする会社でした。
しかし地方債が債務不履行になるケースというのは殆どありません。
保険会社で保険金支払いが殆どないという点では良いビジネスですが、
一方で最近は債務不履行になる確率が低いので
保険料もそれほど徴収できないという問題に直面していました。
そこで新しい成長分野として参入したのがCDO(債務担保証券)など
ストラクチャード・ファイナンス(仕組金融)商品の分野だったのです。
一昔前はそもそもストラクチャード・ファイナンス
(仕組金融)商品がなかったので、
これらモノライン会社がこの分野に参入する事はありませんでした。
しかし今やモノライン会社の半分以上のビジネスが
CDOなどのストラクチャード・ファイナンス商品になっています。
そうです、私がこのコラムで度々爆弾を抱えていると警告してきた、
そして今やシティグループをはじめとする
多くの米金融機関が連日のように数十〜百億ドル単位の
評価損を出しているCDOです。
モノライン会社はそのCDOの保険を提供しているのです!
モノライン会社の問題は色々ありますので
詳細な解説は次号以降に譲りたいと思います。
しかし根本的な問題は、リスクに見合う報酬(保険料)を
徴収してこなかった事にあると考えています。
保険会社というのはプロです。
普通は保険金支払いが増えたからといって資本不足に陥る事はありません。
何故ならそれまでに十分な保険料を徴収して資本を蓄えており、
いざという時に支払っても、まだおつりが来るような仕組になっているからです。
生命保険会社は人の寿命を表す生命表を基に
保険料を割り出していますし、
損害保険会社は災害が起こる確率を基に保険料を割り出しています。
確率から大きく外れるような事象、例えば地震や戦争の場合は、
契約上は保険金の支払いが免責される事になっています。
通常は保険会社が「勝ち」、
保険に加入する側が「負ける」ようになっているのです。
しかし、保険会社がリスクに見合う保険料を徴収していなかったらどうでしょう。
例えば、人間が60歳までに亡くなる確率は10%なのに、
保険料を 5%分しか徴収していなかったら
その保険会社が破綻するのは目に見えています。
私はモノライン会社で同じような事が起こっていたと考えています。
ここ数年、住宅ローンや債券市場における
債務不履行率は非常に低い水準で推移してきました。
債務不履行率が低いので、モノライン会社としては
低い保険料しか徴収できていませんでした。
それでも地方債の保険料よりもずっと高かったのでどんどん参入していきました。
その結果、安い保険料で多くのリスクを抱え込む事になってしまったのです。
不幸な事に、今回のサブプライム住宅ローンの
債務不履行急上昇はそのような状況の中で起きたのです。
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