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基軸通貨ドルの魔術
- 2008/03/04(火) 19:05:52
http://www.ihope.jp/bubble.html
より転載
■基軸通貨ドルの魔術
借金大国アメリカが破産しないのは、
毎年、アメリカの貿易赤字を上回る資金が世界中から流入してくるからだ。
いくら借金が増えても、お金を貸してくれる人がいれば破産しない、という理屈だ。
世界各国は、アメリカに輸出して儲けた資金で、
せっせとアメリカの株式や債権(アメリカ国債など)を購入してきた。
ふつう人は「儲かる話」でなければ、他人に金を貸したりしない。
それは国際経済でも同じだ。
アメリカに世界中から資金が集まってくるのは、
アメリカの金利や株価が他国よりもずっと高く設定されているからだ。
投資家たちは利回りの高さをみこんでアメリカの株式や債権を購入する。
つまり喜んでアメリカにカネを貸す。
日本やEU諸国は今、戦後復興―高度経済成長期が終焉し、
構造的な需要不足(デフレ日本が典型)に陥っている。
経済成長は完全に頭打ちで、株価も金利も低迷を続けている。
それゆえアメリカに輸出してもうけた貿易黒字のいい投資先がない。
それで資金がアメリカに環流してくることになるわけだ。
例えば現在10年ものの日本国債の金利は1・2%程度だが、
米国債は4%前後(レーガン時代の1981年には14%近くにまで上昇した)。
金利だけで考えれば日本国債より米国債の方がはるかに有利な投資先だ。
かくして世界経済には、次のような資金循環が成立することになった。
世界各国は自国製品をアメリカに輸出して貿易黒字を儲け、
その儲けた黒字分をアメリカの株式や債権に投資する。
外国からの資金の環流によってアメリカの経済活動が活発化し、
アメリカの消費が増大。
ちなみにアメリカの世帯の貯蓄率はほぼゼロ%、時にはマイナスを記録する。
つまりアメリカの消費者はお金があればみんな使ってしまう。
場合によっては借金をしてまで消費する。
アメリカの過剰消費によって世界各国からの製品輸入はふくれあがり、
アメリカの貿易赤字と各国の貿易黒字はさらに増大する。
世界各国はもうけた黒字分を再びアメリカに投資する……。
ちょっと考えてみれば分かることだが、借金を雪だるま式に増やしつつ
経済成長を持続し続けるなんてことができるはずない。
資金の借り入れと返済を繰り返しながら、
かろうじて倒産を免れ操業を継続することを
「自転車操業」――自転車は走るのをやめると倒れるから――という。
まさにアメリカのやっていることは、極めて大規模な自転車操業そのものだ。
自転車操業を続ける企業の場合、
「この会社はもう危ない。
これ以上お金を貸しても踏み倒されそうだ」となると、
誰もお金をかしてくれなくなり、倒産する。
アメリカの場合も、資本流入が資本流出に転じれば、
ドル暴落や金利急騰を引き起こし、アメリカ経済は破産する。
ところがアメリカの場合、最後の手段がある。
ドル安政策を行うことだ。
世界各国は、アメリカの株式や債権に投資している。
つまりアメリカの借金は「ドル建て」になっている。
ドルの為替レートが下落すればドル建ての借金も減る。
ドルと円の為替相場でみた場合、
かつては1ドル=360円だったのが今では
1ドル=105円にまでドルは下落している
(一時は1ドル=80円になったこともある)。
いくらアメリカに輸出してドルを稼ぎ、
そのドルをアメリカの株式や債権に投資して儲けても、ドルの価値が目減りしてしまえば
その儲けはパーになってしまう(為替差損)。
1985年9月、先進5カ国のドル高是正合意(プラザ合意)をうけ、
1ドル=240円前後だった為替レートは急速に下落、
1987年のG7ルーブル合意を経て
下げ止まったときには1ドル=150円になっていた。
この間、ドルは対円レートで約4割もの大幅な切り下げとなり、
日本の対外純資産の為替差損は約3・5兆円に達した。
貸し手である日本のドル債購入者からみれば、
ドルの下落はアメリカという債務者に元利払い軽減を許したに等しい。
まさに天から降ってきた「徳政令」だ。
そもそも日本が貸し手でアメリカが借り手なのに、
その債権が「ドル建て」というのがおかしいのだ。
大規模な資本の流入が、流入国(アメリカ)の通貨建てで
行われるなどという事態そのものが、国際経済の常識に反している。
今年は日露戦争100周年だそうだが、当時日本政府は戦費調達のため
ロンドン市場で日本公債を売りに出した。
当然、ポンド建てだ。
いつ下落するかわからない弱小国日本の通貨・円建ての
公債など買う投資家は一人もいなかったからだ。
日本に米国債購入をお願いしたいのなら、
東京市場で円建ての米国債を発行するのが当然なのだ。
アメリカは、為替市場をドル安に誘導することによって、
他国が保有するドル資産の価値=アメリカの借金を自動的に減らすことができる。
こんなのは、「基軸通貨ドルの魔術」(『マネー敗戦』)というか、
インチキ以外のなにものでもない。
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