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「地球を守る」というエコロジストの発想

  • 2008/03/03(月) 20:46:05

http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/gaia.html
より転載

地球温暖化を論じる人々は、
壮大な「地球文明論」を語るのが好きらしい。

たとえば佐和隆光氏(京都大学教授)は、
「地球温暖化問題が発信する
『大量廃棄を伴う工業文明は持続不可能である』との警告に、
私たちは真摯に耳を傾けねばなるまい」
として「今日ある文明の改編」を主張する。

これは文明論以前に、事実認識として誤りである。

これまで見たように、工業文明の発達した先進国ほど環境は改善しており、
現在の経済システムは持続可能である。

もちろん環境が改善されているということは、現状のままでよいということを意味しない。

必要なのは内容空疎な文明論ではなく、
政策の費用対効果を客観的に評価して優先順位をつけることである。

たとえば京都議定書の1/5のコストで、
全世界に衛生的な水を供給して毎年200万人の命を救うことができる、
とロンボルグ氏は論じている。

環境問題の中でも、温暖化より深刻な問題は多い。

たとえば途上国では、焼畑などの
「略奪農業」によって大規模な森林破壊が行われ、
すでに熱帯雨林の20%は消滅した。


このまま破壊が続くと、熱帯が砂漠化するばかりでなく、
熱帯雨林にある地球上の生物種の半分が絶滅の危険にさらされる。

森林破壊の最大の原因は貧困であり、
先進国がナチュラル・トラストのような方法で
経済的に支援する必要があろう。

ラヴロック氏のあと、文化人類学者
レヴィ=ストロース氏にインタビューしたとき、
彼は「熱帯雨林とともにわれわれが失うのは
快適な環境ではなく、生命の謎です。
熱帯雨林という地球上で最大の謎が解明されないまま
失われてゆくことが最大の損失なのです」と語った。

生命の中には、まだ人間が学ぶべき「知性」が無限に残されている。

遺伝子工学と呼ばれるものは、
自然界にある遺伝子を解読し、組み替える技術にすぎない。
互いに独立に生きる植物やバクテリアがどのようにして
地球の平衡を維持しているのかもよくわからない。

レヴィ=ストロース氏は「地球を守る」というエコロジストの発想こそ
人間が自然を征服し改造する近代西洋文明の傲慢の典型だと指摘した。

問題は、人間が地球を守ることではなく、そこから学ぶことである。

生物の遺伝子は、絶滅したら
二度と作り出すことのできない「歴史的遺産」である。
それを守るのは、地球のためでも持続可能性のためでもなく、
人間にとって必要な知的なコモンズ(共有地)を残すためなのである

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